博物館のタイプ | A-遺跡型(7) | B-テーマ型(8) | C-体験型(8) | 複数/無選択(13) |
10代 | 0 | 0 | 0 | 1 |
20代 | 3 | 0 | 4 | 1 |
30代 | 3 | 1 | 1 | 4 |
40代 | 0 | 2 | 3 | 3 |
50代 | 1 | 2 | 1 | 2 |
60代 | 1 | 5 | 1 | 0 |
70代以上 | 1 | 2 | 0 | 0 |
不明 | 0 | 1 | 1 | 2 |
合計 | 9 | 13 | 11 | 13 |
※表の( )内はコメント記入数をさす
その結果、次のような傾向が得られました。
・博物館ややAが少ないといえども、全体的にほぼ均等に分散している。
・Aに関しては30代以下の若者の支持が多い。
・Bに関しては圧倒的に30代以下の若者の支持が少ない。
・若者はA支持とC支持に二分している。
・コメントのなかに、A・B・Cどれかではなく、いろいろあってよいというものが多かった(10名)。ただ、その中にさらに、それぞれ館のおかれた状況や特性によって機能分化した館があればよいという意見と、それぞれの館が複数の側面を備え、さまざまな機能をとりいれるべきという意見と2タイプあった。
・市町村、学校教育、情報ネットワーク、など様々な側面において連携を強化するべきであるという提案が多くみられた。
・Cの体験型については、好ましいとしながらも、五感をつかったり体を動かすのは歴史系の博物館にはそぐわないのではないかという声が複数あった。
所見
選択の統計をみても、コメントをみても、利用者側のニーズが多様化していることがあきらかである。様々な施設やシステムとの連携を求める声も、その反映であろう。その一方で、年齢層の比較的高い人の意見(特に男性)にはまとまりがあり、現状で慣れ親しんだBのテーマ型博物館が最も好ましい、Cの体験型は歴史系にはなじまない、といった保守的な意見も多かった。おそらくこの層が、現状の博物館においての安定的な利用者層なのであろう。しかしながらその他の利用者層においては、各々のニーズが放射状に広がっている。
コメント
A
・市町村ともっと連携(泉北)10代女
・立地、資料の豊富さをもっと活かして規模の大きな企画を、存在をもっとPR(泉北)20代男
・レプリカや模造品だと本物じゃないのかとがっかりする。本物をたくさんみたい。(20代男)
・坪井先生がおっしゃられているのは、調査活動を行う主体となることで国からも補助金や支援をうけられる場としての博物館の役割だと思います。(20代女)
・個人的にはありのままのカタログがいい。公営博物館ではそれはだめでしょうが。(30代女)
・感動を伝えるためには継続して調査担当者が現地で活用していく必要があるのでは(30代男)
・専門的な知識やよほどの関心がないと見ようと言う気持ちが起こらない。私にはほとんど楽しめません(30代男)
・現在の時点からいきなり博物館の中にはいって弥生や古墳時代にタイムスリップしたとして、何ら時間的な連続性が感じられない。見せるならいかに今の時点まで変遷したのかを見せる必要があると思う。(30代男)
・できるだけ多く、ガイダンス施設としての規模でもあることが望ましい(40代男)
・基本的にはこの形であると思う(60代男)
・その土地で実物を見る感動インパクト。カビなど保存面には問題。一度見れば十分(不明男)
・歴史全体の中での遺跡の位置づけを明確にわかりやすくしてほしい。入門者用に携帯用の解説があるとよい。(不明)
B
・池上の未整理資料等を館主導で整理・研究すべき(弥生)20代男
・市町村ともっと連携(弥生)20代男
・何を伝えるのか内容に寄って、税金を払ってもいいと府民を納得されることが必要。府民に対して歴史を教えることが望ましいという価値財的なアプローチはパターナリズムだという批判に対して反論できない(20代男)
・いろいろ想像できることは楽しい。レプリカやジオラマが多くても興味がもてないことも多く、どうなのかなあとおもっています(30代男)
・弥生・近つのような細分化よりも本来は考古博として大きい館が1つあることが望ましい。現状の弥生・近つはAとBの中間にならざるをえないが通史的博物館も必要では?(40代男)
・ストーリー性がある。方法によっては楽しく伝えられる。しかしその復元、映像が正しいとは限らない。研究とともに変化。テーマにとらわれ歴史の連続性、広範囲な見方にかける(不明男)
・全体の流れの中のテーマの位置づけにも重点を置いてほしい。今までわかってることも重要だがまだわかっていないことも明示してほしい(不明)
C
・利用者に関心をもってもらうという点からすればこれが最も効果的だが、これだけでは充分でない。択一でなく各方法の良い点・悪い点を把握した上でより効果的な方法を考えるべき(20代男)
・歴史系では実物資料重視のスタンスが中心のように感じるが、現在の博物館の危機的状況を鑑みると利用者ニーズがもっと重視されるべき。ただ、「ハンズ・オン」においても物事や現象の本質をどう考えればよいかわからなかった。旭山はプログラムや展示の柱がしっかりしているというお話だったが、この柱がしっかりしていないと文化施設ではなくなってしまうのではないか(30代男)
・五感は大切だと思います。なるほどと思えることがあると印象にのこる(30代男)
・土器は割れるもの、完形品でも触らせればよい、仮に割ってしまった人が居てもその日とは大切さを身にしみるはず。(30代男)
・理想はCなのですが、考古学の専門性を市民に解説ということを重視すればBも必要。子ども達のための楽しい体験はCだが、博物館本来(旧来)の使命から言えばBであろう(40代男)
・学校や会館施設などへの出張で対応できる?またA・Bの館で付属的機能として。(40代男)
・一番インパクトがあるが歴史系は五感がつかいにくい。単なる面白い体験で終わることが多く学習にいたらない(不明男)
・子どもや入門者にはよいが、時間なく手早く見たい人はこまるので・・・(不明)
提言
・若い人も興味が持てるようにできればよい。講演などで触れた史跡などについて所在地を紹介するのはよい。(10代女)
・教育現場との連携、社会科教育における博物館の活用。勧告の遺跡公園はこどもであふれかえっていたので参考にできれば(20代男)
・どれが一番とか選ぶことはできないのではないか?いろいろなアプローチをあわせることで広くの人にアピールすることができる。高校生離れの対策は、幼い時からの刷り込みしかないと思う。(20代女)
・いろいろな活動も大切だが展示を魅力的なものに!遺物の展示、遺跡の紹介だけの展示、正直面白い展示がどれだけありますか?学芸員の独りよがりをなくさなければ何もはじまらないと思います(30代不明)
・全てにおいて個性があるもので、好ましいか好ましくないとかはない。博物館の実体に会わせた個性をがんばって貫く必要がある。教員とともに、高校歴史教育と博物館展示、大学側の教育、入試とのリンクを目的に研究会を開く必要があるとおもう。たいていの高校教員は古代~近世史を先行していた人たちが多く、縄文~古墳の授業は極めて概念的になり、いきいきとしたイメージが伝わっていない。できれば高校教育と考古系博物館がもっと緊密な関係をつくればいいとおもう。(30代男)
・社会のニーズもいろいろなので、博物館もいろいろあっていい(30代女)
・もっと企業や個人からも出資をお願いするといい(30代女)
・最近体験イベントを行う博物館が多いが、必ずしもその場所で行う必要のないイベントをしているところがめだつ。(古代人の衣装、勾玉つくりなど)それよりその場所でしか見られないものを展示してくれるほうがよいと思う。(30代女)
・A~Cともにそれぞれの場所に作られた意味をしっかり意義づける、そこを訪ねて学ぶ動機づけが必要(30代男)
・A・B・Cとも博物館の規模や立地などによってありえるものであり、どれがよいかは一概には言えないのでは。ただし情報発信の強化が必要(調査研究のベースのもとで)(30代男)
・4月に弥生博に行ったが、立派な常設展より手作り感あふれシンプルな問いに答えてくれる企画展がずっと面白かった.身構えず親しみがもて、うけいれてくれる雰囲気がよかった。来た一が「自分が大事にされている」と感じられるような博物館であってほしい(30代男)
・A・B・Cそれぞれに特色があっておもしろいので各博物館の創意工夫が今後必要と思う(40代不明)
・強いて挙げればBをという感じ。いろんなタイプの館があって相互に個性を発揮し合う形が好ましいと思う。利用者としてもその時々の目的に応じて使い分けできる(40代男)
・Bをもっとも好ましいとしたのはテーマ型をどだいにして今度はどこへ行こうと選択できるガイダンスの場として。小中学生の体験学習にはC、もう少し年齢が高く専門的な内容も学びたい人にはAがみているという流れを重視してはどうか。宮崎の西都原、群馬のかみつけの里が史跡公園全体を活用してこの三つの要素がうまくくみあわさっている。また学芸員養成で集客という視点を重視すべき。観光系の大学学部が関西でふえているので協力もあおぐベき。橿考研のイワミンのような親しまれるキャラクターをつくり、博物館をなくさないための世論作りに活用すべき(40代男)
・どれか一つでなくすべての要素を実現できることが望ましい。現況では近つ弥生の施設をフルに利用し、両館をB→Aへ近づける。ただし近つでは一須賀だけでなく古市も視野にいれたガイダンスとして。弥生でも四ツ池なども積極的にとりあげる。(40代男)
・全てに特化することなく、博物館の立地や目的に応じてバランスよく諸機能を取り入れた博物館が望ましいと思います。実物がただ並んでいるだけではたいくつで、テーマ物語性は欲しいが物語性のあるのはストーリーがわかるとそれでおしまいとなる。体験型博物館はあくまでも博物館の一部でそれがすべてとなるとテーマパーク(遊園地)とかわらなないのでは?博物館を訪れるひとは様々でニーズも多用で、複数の施設を設置して対応できないなら、一つの博物館に諸機能を取り入れるべき(40代男)
・(展示品)解説文がわかりやすいのでBはまちがっているし、まったくりかいしていないちゅうしょうてきなひなんをするな!!(40代不明)
・人材育成こそが博物館の実力と価値をたかめ、地域に貢献する。目先の入場者や収入に惑わされず学芸員の育成に力を入れてほしい(50代男)
・A・B・Cのミックスがよい。多様な博物館をめざす。(50代男)
・3つにわけることは可としても、どれがよいかということで意味があるのでしょうか?弥生があってそばに学習館があるのでそれぞれがよいのではないかとかんがえる(50代男)
・A・B・Cいろいろな博物館があったらいいとおもう(50代女)
・染川さんのは勉強になりました・・・(60代男)
・A・B・Cと質が異なるので同列では比較し難い。自分の好みで○を付けた(C)がいろいろあっていいと思う。(60代男)
・上記の回答(Bを選んでいる)は展示に限っての回答です。最も親しみやすく入りやすいから。提言アイデアについては沢山ありますが今日の資料、特に「大阪維新プログラム」に多くの示唆があるようなので改めて提出したい。(60代男)
・近つ飛鳥の仁徳陵復原模型はすばらしいと感じるが、大規模である割には得るものが少ない。広いスペースをつかっているが今ではもったいないという感じ。より感動や知識が得られる展示に転換していく方がよいと思う。(70代男)
・博物館存続のためのご努力に感謝します(80代男)
・もっと博物館の存在をアピールしたらいい(不明女)
・各々に一長一短あるがどれも好ましくない、マニアしかこない。(不明男)
・学生と専門家のみを対象としているような施設が多い。こんなでは府民の理解がえられない。誰のための博物館?全国で教えられるテキストに難波宮、近つ飛鳥をもうすこし盛り込まれるように働きかけを(不明)
◆5月30日、PTと教育委員会の第2回公開協議
教育委員会が提案した活性化策→(pdf)
◆5月28日、「今こそ、専門分野の司書・学芸員の“専門”を問う~図書館・博物館における専門スタッフの役割を考える集い~」参加者一同が、 大阪府の博物館・図書館の存続を求める要望書を提出→shaunkyo.exblog.jp/8229161/
◆5月27日、サイモン=ケイナー氏(英・セインズベリー日本芸術研究所副所長)が要望書を提出→(pdf)
◆5月24・25日、日本考古学協会大会で署名活動◆5月16日、韓国大学博物館協会から博物館存続の要望書
釜山大学申敬チョル教授が、府庁に要望書を提出しました。大阪府の博物館は東アジアにとっても大切なもので、日韓の相互理解の上で重要であると主張されました。
要望書→(pdf)
◆5月15日、博物館関連の学会3会(日本ミュージアム・マネジメント学会、展示学会、全日本博物館学会)が連名で質問状を提出しました。http://www.museology.jp/osaka/osaka_q.pdf
◆5月11日、「大阪府立弥生文化博物館を守る市民の会」集会開催
池上曽根史跡公園で大阪府立弥生文化博物館の存続を求める市民集会が開かれました。当日は佐古氏・岸本氏・一瀬氏による講演の後、市民の方々とともに熱い議論が交わされました。博物館設立までの経緯や現在の役割とともに、池上曽根遺跡・弥生文化博物館・弥生学習館の三位一体効果とその将来性も評価すべきと議論されました。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-05-12/2008051215_02_0.html
◆5月1日、改革PTと府教委の公開協議がおこなわれる
教育委員会の準備資料抜粋→(pdf)
www.pref.osaka.jp/zaisei/kaikaku-pt/shian/giron/kyouiku/gaiyou_kyouiku.htm
◆4月21日、自然史学会連合(38学会)が博物館施設「見直し」に対する要望→(pdf)
◆4月17日、和泉市長・泉大津市長、弥生博存続を要望→(pdf)
http://www.pref.osaka.jp/zaisei/kaikaku-pt/shian/yobo/200417_yobo.pdf
◆4月13日シンポジウム「歴史遺産と博物館」を開催
大阪歴史博物館において、本会主催シンポジウム「歴史遺産と博物館―地域文化力をはぐくむために―」を開催。れきしトークでは、俳優で日本考古学協会会員である苅谷俊介さんが、大阪府の博物館は全国的にみても傑出した内容をもっており、アピールや活用方法しだいで大阪のシンボルになりうるとの力強いエールをいただきました。このほか多賀茂治さん、高田健一さん、向井幸一さんに講演いただき、最後は一瀬和夫さん、福永伸哉さんの進行で熱い議論が交わされました。参加約180名。※毎日新聞に特集記事(4月22日夕刊)
◆4月11日「財政再建プログラム試案」公表
弥生文化博物館は廃止し、近つ飛鳥博物館への移転・集約化という原案→抜粋(pdf)
http://www.pref.osaka.jp/zaisei/kaikaku-pt/shian/oyakenoshisetsu.pdf
◆4月10日、昆虫担当学芸員協議会が要望書を提出www.mus-ent.jp/modules/bulletin/
日本分類学会連合(27学会)も要望書を提出
◆4月8日大阪府に再要望 直木先生の声明文はこちら→(pdf)
直木孝次郎先生はじめ発起人の先生方と世話人で、10,189名分の署名を提出し、あわせて544名の賛同研究者一覧を添えて、博物館存続の再要望をおこないました。
◆4月4日、日本考古学協会が要望書を提出→(pdf)
◆3月11日、考古学研究会が要望書を提出→(pdf)
◆3月6日大阪府に要望書提出 要望書はこちら→(pdf)
「大阪府の博物館を支援する会」発起人、学術5団体の連名で要望書を提出しました。
◆2月5日、図書館以外は不要、公の施設の廃止・売却を進めるとの新聞報道
◆1月27日、大阪府知事選挙で橋下徹氏が当選
※クリックしてうまく開くことができない場合は、PDF形式のファイルを開くために必要なAdobe Readerをインストールしてください。Adobe Readerのインストールはこちら
http://www.adobe.com/jp/products/acrobat/readstep2.html